自由回答をAIがその場で聞き返す、MRSがアンケートを対話化

「なんとなく」で終わる回答へ追加質問し、不正入力を止め、回収後は要約まで自動化する。定量調査の規模で定性情報を集められるか。

発表企業:株式会社マーケティング・リサーチ・サービス

対象

商品評価、顧客満足、従業員調査、解約理由などで大量の自由回答から具体的な改善材料を得たい企業

種別

新サービス

注目する理由

固定設問の自由回答を回収後に分析する従来工程から、回答中のAI深掘り、品質判定、集計・要約までを連続させる調査設計を評価した。

回答後の分析ではなく回答中に深掘る

マーケティング・リサーチ・サービスは2026年9月1日、AI調査サービス「SaGLO」を始めた。回答者が自由記述へ入力すると、AIが内容を読み、『どの場面で』『具体的に何が』と追加質問する。一つの回答に複数の要素があれば分けて聞き、無意味な文字列や設問と関係ない入力には再入力を求める。連続して不正入力が続けば調査を終了する。

従来のオンライン調査では『面倒だから』『なんとなく』という短い回答を回収した後、人が分類・除外する。SaGLOは回答している時間にインタビューのような聞き返しを入れ、データの深さと品質を回収前に変える。大量配布できるアンケートと、理由を掘る定性インタビューの間を埋めようとする点が新しい。

AIの聞き方が回答を誘導する危険

深掘りは文字数を増やせるが、良いデータになるとは限らない。AIが『価格が高かったのですか』と原因を先回りすれば、回答者は選択肢を与えられた方向へ寄る。何度も聞かれることで、最初はなかった理由を作る可能性もある。企業や商品ごとに追質問の禁止表現、最大回数、回答を終えられる選択肢を設計し、従来調査との回答分布差を検証する必要がある。

不正回答判定にも誤りが起こる。短い固有名詞、方言、若者言葉、障がいのある回答者の表現を無意味として排除すれば、データが整うほど一部の声が消える。強制終了率と誤判定を人が監査し、AIが拒否した回答も匿名化して確認できる仕組みが必要だ。従業員調査では追加質問から個人が推測されない配慮も欠かせない。

要約の速さより意思決定への採用を見る

回収後は全回答を設問別・選択肢別に集計し、100字、300字、500字程度の要約を生成する。商品パッケージ、顧客満足、従業員満足、EC離脱などへ使う。要約は閲覧時間を減らす一方、少数意見や相反する理由を一つの傾向へ丸める可能性がある。原文、分類根拠、該当件数へ戻れる構造が必要で、AI要約だけを経営判断へ渡すべきではない。

追うべき指標は平均文字数だけでなく、追加質問の回答率、途中離脱、不正判定の誤り、人による分類時間、AI要約と専門リサーチャー判断の一致、得られた示唆が商品や施策変更へ採用された割合である。65年以上の調査知見をプロンプトへ反映したとするが、その品質を案件間で再現できるかが事業価値になる。調査員の作業削減ではなく、浅い大量回答から本当に新しい理由を見つけられたかで評価したい。

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