自由回答をAIがその場で聞き返す、MRSがアンケートを対話化
株式会社マーケティング・リサーチ・サービス
自然文の質問から該当ページと前後の記述までつなぐ。生成回答そのものではなく、専門家が根拠へ到達する時間を短くする設計だ。
発表企業:株式会社丸善リサーチサービス
会計士、税理士、企業の経理・税務・M&A実務担当者
新機能
閉じた専門コンテンツ、引用、ページ表示を一体化し、生成AIを回答者ではなく根拠探索の入口として商品化した新規性を評価した。
丸善リサーチサービスとLegal Technologyは、会計・税務・M&Aの専門書籍や雑誌を横断検索できる「丸善リサーチ」にAI検索を追加した。利用者は調べたい内容を自然な質問文で入力でき、AIが収録コンテンツから関連箇所を探し、その記述を引用して文章を生成する。回答と一緒に書名、該当ページが示され、前後のページもその場で読める。検索語を何度も変え、候補文献を一冊ずつ開く工程を短くする機能だ。
重要なのは、インターネットや生成AIがもともと持つ知識を情報源にせず、丸善リサーチに掲載された専門書・雑誌へ探索範囲を閉じた点にある。税務判断では制度の適用時期や例外、前提条件が結論を左右し、もっともらしい要約だけでは実務に使えない。同機能はAIの文章を参考情報と位置づけ、利用者に出典書籍の確認を求める。生成結果を最終成果にせず、検証できる一次的な記述への案内役として組み込んだ商品設計である。
AI検索は全契約者が追加手続きなしで月3回使える。継続利用向けの「AI検索Plus」は月額1,500円(税抜)で、月間上限は残るものの利用枠を大幅に増やす。既存の専門コンテンツ定額課金にAI利用量を重ねるため、利用者は自分の業務で時短効果を確かめてから追加料金を払える。2026年9月中は対象会員に月20回を開放し、利用習慣を作る導線も置いた。
この仕組みは、出版社や著者が作った信頼性の高いコンテンツを持つ事業者が、その保有資産をAI時代の検索体験へ変える例でもある。汎用AIとの競争軸は回答の流暢さではなく、収録範囲、更新頻度、引用の正確さ、ページ確認までの短さになる。一方、一部書籍はAI検索の対象外であり、必要な文献が含まれなければ回答の網羅性は下がる。Plusの上限や基本サービス料金を含めた総費用も、導入判断には欠かせない。
追うべき成果は質問数ではない。従来検索と比べた根拠到達時間、適切な書籍・ページが上位に出る割合、引用と原文の一致率、回答後に原文を確認した比率、再検索回数が重要になる。法改正後の新版への切り替えや、古い記述をどう区別するかも品質を左右する。専門家が最終確認する設計でも、生成文の断定調が強ければ見落としを誘うため、適用時点や前提条件を画面上で明確に示す必要がある。
月3回の標準枠が単なる試用で終わるか、日常業務でPlusへ転換するかは、難しい質問ほど有用な根拠に届くかで決まる。出版社側にはAI検索対象を広げる権利処理と、著者・出版社への価値還元も課題になる。利用継続率、Plus転換率、対象書籍数、回答から閲覧へ進む率に加え、誤った根拠提示や苦情の件数まで開示されれば、専門情報と生成AIを組み合わせた事業の持続性を判断しやすい。