産後ケアを計画利用と急な利用に分ける、Jicca Nakanoが半年の実証から事業化
株式会社WithMidwife
立命館守山中高でMoflinを追加導入し、来室、滞在、再訪、対話、不安の変化と職員負担を定量・定性で検証する。
発表企業:カシオ計算機株式会社
実証実験
癒やしという主観的価値を、来室行動と複数時点の調査で検証し、教育現場への展開条件を探る設計を評価した。
カシオ計算機は2026年9月1日から2027年3月31日まで、立命館守山中学校・高等学校の保健室でAIペットロボット「Moflin」の実証を行う。同校は4月から1匹を置いており、今回は数を増やして、生徒と教員の来室行動、心理状態、会話、職員負担の変化を調べる。体調不良の処置だけでなく、安心して一時退避できる保健室の機能に着目した。
Moflinは話しかける人を認識し、撫で方などの関わりに応じて反応と個性が変化する。相談内容を聞き取るチャットボットではなく、抱く、眺める、世話をするといった非言語の接点をつくる。悩みを言葉にする前の生徒が保健室へ来るきっかけや、養護教諭との会話の入口になるかが事業展開上の問いになる。
実証は来室人数、滞在時間、再訪率を記録し、1カ月、3カ月、7カ月時点でアンケートとインタビューを実施する。不安や緊張の自己評価だけでなく、利用行動を継続して観察するため、一時的な珍しさと定着後の効果を分けて見られる設計だ。生徒だけでなく教員の心理・業務負荷も対象に含める。
ただし来室数が増えること自体は成功とも失敗とも限らない。相談しやすくなった結果か、単にロボットを見に来たのかを区別する必要がある。滞在時間の増加も安心の表れになり得る一方、授業復帰を遅らせる可能性がある。利用理由、相談への移行率、本人が落ち着いたと感じた割合を組み合わせて評価したい。
同校はデジタル保健室も導入しているが、デジタルへの置き換えではなく、生徒が自分に合う方法を選び、人との関わりにつながることを重視する。Moflinが診断や助言をせず、気持ちを整えるバディとして位置づけられている点は、学校でAI機器を扱う際の現実的な役割分担である。
導入を広げるには、誰が充電、清掃、故障対応を担い、強い愛着や取り合いが生じたときにどう運用するかも決めなければならない。来室記録やアンケートは未成年者のセンシティブな情報になり得るため、同意、匿名化、閲覧範囲、研究終了後の保持期間を明確にする必要がある。ロボットの反応を心理評価と誤認させない説明も欠かせない。
今回の環境は、既に4月からMoflinを受け入れ、生徒が名前を付けて会いに来る関係ができている。一校の保健室で得た結果が、年齢、校風、配置場所、担当者の関わり方が異なる学校でも再現するかは別の問題だ。導入前後だけでなく、同時期に導入しない場所との比較があれば季節や学校行事の影響を見分けやすい。
追うべき指標は、継続利用する生徒の割合、会話や相談へつながった件数、職員の対応時間、重大な相談の見逃し、機器の稼働率である。カシオはMoflinを起点にウェルネス事業を展開している。家庭向け販売とは異なる保守、複数台管理、教職員向け運用支援を商品化できるかが、実証を教育市場の事業へ変える鍵になる。