AIが統合ルールを作り、人が承認する。Praztoが顧客データ名寄せクラウド「NAYOSEL」を開始
SFAや会計、データベースに分散した重複顧客を検出し、関連履歴の付け替えと元システムへの書き戻しまで行う。AIの自動化と人の統制を組み合わせ、名寄せを分析前の一時作業から継続運用へ変える。
BY 株式会社Prazto
SFA、MA、会計、POS、データベースなど複数システムに顧客データを持つ企業
new service
名寄せ候補を見つけるだけでなく、承認、統合、復元、元システムへの反映までを一つの業務として設計した点に注目した。AIに最終判断を委ねない構造も、企業データの実運用に適している。
検出から書き戻しまでをクラウドで完結
株式会社Praztoは2026年8月24日、AI名寄せ・顧客データ統合クラウド「NAYOSEL(ナヨセル)」を正式に提供開始した。SFA、MA、会計、POS、データベースなどに分散した顧客データを横断し、重複候補の検出、人による承認、レコード統合、元サービスへの書き戻しまでを一つの流れで行う。
同社によると、データの取り込みには自社のデータ連携サービス「Passwork」のコネクタ基盤を使い、69サービスに対応する。gBizINFO由来の法人マスタも標準で含め、名称から法人番号を補完して法人の識別を支援する。
名寄せが検出で止まる理由
顧客接点が増えるほど、同じ会社や人物がシステムごとに別のレコードとして蓄積される。法人格の省略、全角と半角、移転前後の住所など、完全一致では扱えない差異が重複を生む。集計の精度だけでなく、営業担当者が過去の商談や問い合わせを見落とす原因にもなる。
重複候補を抽出できても、実際の統合は難しい。顧客レコードには商談、活動履歴、請求などが関連しており、誤って消せば業務データを失う。NAYOSELは、候補発見後の判断と実行が人手に残る問題を製品の対象にした。
AIの提案と人の承認を分ける
AIは表記の正規化ルールと重複判定条件の案を作り、候補を確信度に応じて自動統合、承認待ち、対象外に分類する。判断が割れる組み合わせは、人が承認画面で確認する。確定した処理は編集可能なルールとして残るため、AIが根拠を示さずに顧客情報を書き換える方式ではない。
承認後は関連レコードの付け替えまで実行する。Salesforceでは標準のマージ処理を外部から呼び出し、RDBMSへの書き戻しやCSV、Tableau Cloudへの出力にも対応する。実行前のスナップショットを保存し、統合前へ戻せる機能も備える。
月額5万円から、継続運用を狙う
料金は名寄せ対象の件数で分かれる。5万レコードまでのStarterは月額5万円、30万件までのStandardは10万円、200万件までのProfessionalは20万円で、それを超える場合は個別見積もりとなる。初回のデータクレンジングを支援する別サービスも同時に発表した。
同社は約600万件を90秒で突合した実測値を示しているが、計測条件や実データでの判定精度は公表していない。導入判断には、自動統合できる割合、誤判定率、人が確認する件数、既存システムへの反映時間を事例で確認する必要がある。
LAUNCH TRACEの視点
NAYOSELの特徴は、生成AIを名寄せ精度の宣伝に使うだけでなく、企業が許容できる統制手順に組み込んだことだ。AIがルール案を作り、人が判断し、実行結果を戻せる。データ管理者が責任を保ったまま自動化範囲を広げる設計になっている。
一方、月額サービスとして定着するには、初回整理後も重複が増える速度に対して継続的な価値を示す必要がある。対応サービス数だけでなく、データ品質の改善が営業効率や分析精度へどう結びついたかを追跡したい。