市民の「残したい」を事業承継へ、4自治体が地域の仕事を地図にする実証
つがる市、喜多方市、津南町、豊岡市が、住民から店や技術、文化の情報を募る。表面化していない承継候補を見つけ、自治体の継業支援につなぐ。
BY ココホレジャパン株式会社
後継者不足に直面する地域事業者と、地域資源を把握して事業承継を支援したい自治体・商工団体・金融機関
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後継者を公募した事業者だけでなく、市民が失いたくないと考える仕事から支援対象を発見する点に注目した。投稿数ではなく、事業者との対話や実際の承継へどこまで接続できるかが実証の評価軸になる。
4自治体で地域の仕事を可視化
事業承継メディア「ニホン継業バンク」を運営するココホレジャパン株式会社は、青森県つがる市、福島県喜多方市、新潟県津南町、兵庫県豊岡市と「残したい仕事の見える化・実証事業」を始める。
住民から、残したい店、仕事、技術、伝統文化とその理由を募り、「みんなでつくる残したい仕事マップβ」に掲載する。4自治体はいずれも小規模事業者や地場産業の後継者不足を課題としている。
相談者を待たず、市民の声から探す
一般的な事業承継支援は、経営者が相談窓口を訪れたり、譲渡案件として登録したりした後に始まる。今回の仕組みは、市民が価値を感じている仕事を先に可視化し、支援側が潜在的な承継課題を知る入口を作る。
投稿情報は運営会社が確認し、店舗名、業種、所在地エリア、残したい理由など、公開可能な内容だけを掲載する。誤りや掲載拒否の申し出があれば修正・削除に対応し、個人情報や秘密情報は載せない。
地図から後継者募集へ接続
マップはニホン継業バンクと連携する。後継者を募集中の事業者も地図に表示し、希望する事業者は4自治体がそれぞれ開設している継業バンクで募集できる。住民投稿を読み物で終わらせず、具体的な承継支援へ送る導線だ。
各自治体は広報誌やSNSで投稿を周知し、集まった情報を地域づくりや承継支援に使う。マップと共創団体としての利用料は無料とされている。
人気投票と承継支援の間を埋める
市民に愛される店が、必ずしも後継者を探しているとは限らない。反対に、経営者が廃業を検討していても、財務、設備、技能移転などの条件が整わなければ承継には進めない。投稿された事業者への接触方法と、経営者の意思を尊重する運用が必要になる。
実証では投稿件数に加え、掲載情報から何件の相談が生まれ、後継者募集や承継準備へ移ったかを追う必要がある。地域ごとの反応の違いも、他自治体への展開条件を示す材料になる。
LAUNCH TRACEの視点
地域の小さな仕事は、売上規模だけでは社会的な価値を測りにくい。住民の記憶や生活との関係をデータに加えることで、従来の案件登録型サービスでは見えなかった承継候補を発見できる可能性がある。
一方、地図に載せることは支援の始まりにすぎない。市民の推薦を経営者との対話へつなぎ、承継可能性を判断し、継ぎ手との関係を作る人の役割が欠かせない。4地域でその運用モデルまで形にできるかに注目したい。