温泉街の移動を観光体験へ、定山渓で1人乗り小型EVのレンタル実証
札幌市、BRJ、定山渓観光協会が、レトロ調の「EVクラシック」を2026年9月から導入する。徒歩中心の観光地で、回遊性と移動自体の魅力を検証する。
BY 株式会社ブレイズ
定山渓温泉の点在する観光スポットを自分のペースで巡りたい普通自動車免許保有者
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単なる移動補完ではなく、車両のデザインを観光体験の一部として扱う点に注目した。1人乗り、免許必須、雨天利用不可という制約の中で、利用率と地域消費を高められるかが焦点になる。
定山渓を小型EVで巡る
札幌市、BRJ株式会社、一般社団法人定山渓観光協会は、定山渓温泉街で回遊モビリティの実証を2026年9月1日から行う。BRJのレンタルサービスで、ブレイズの1人乗り四輪電動ミニカー「EVクラシック」を使う。
定山渓は観光スポットが温泉街に点在し、移動が徒歩中心になる場合が多い。小型車両で移動の負担を補い、目的地間の移動そのものを観光体験に変えることを狙う。
1時間1000円、普通免許が必要
料金は1時間1000円、3時間3000円で、札幌市民向けの割引を設ける。貸出場所は「心の里 埜のてらす」内のフリルフスリフ。利用には普通自動車免許が必要で、車両は1人乗り、雨天時は貸し出さない。
EVクラシックは原付ミニカーとして登録する公道走行可能な車両で、家庭用100Vコンセントから充電できる。車体価格は税込149万3800円で、レンタル事業者が車両を保有し観光客へ時間貸しする。
移動手段を景観の一部にする
車両はクラシックカーを思わせる外観を持つ。静粛性や走行時に排出ガスを出さない点だけでなく、歴史ある街並みや自然景観との親和性、写真に残したくなるデザインも採用理由とされた。
観光地の移動サービスでは、効率だけを高めると路線バスや送迎車との差を作りにくい。小型で目を引く車両を使い、乗る行為をコンテンツにすることで、回遊と体験価値を同時に設計する。
天候と利用条件が事業性を左右
1人乗りで免許が必要なため、家族やグループの全員が同乗する用途には向かない。雨天時は使えず、積雪期の運用も発表では示されていない。北海道の観光地で稼働日をどこまで確保できるかが採算に影響する。
実証では、貸出件数、稼働率、走行距離だけでなく、立ち寄り先の増加や滞在時間、店舗消費への効果を測る必要がある。安全な走行ルート、駐車場所、住民や歩行者との共存も確認事項になる。
LAUNCH TRACEの視点
観光地の二次交通は、移動需要が季節や時間帯に偏り、大型車両では採算を取りにくい。必要なときに借りる小型EVは一つの選択肢だが、定山渓の試みはさらにデザインを目的化し、移動を観光商品として販売する。
レンタル収入だけで成立するのか、地域の宿泊施設や店舗との周遊商品へ発展するのかが次の焦点となる。他地域へ展開するには、車両よりもルート、貸出拠点、地域事業者の連携を含む運営モデルが重要になる。