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精密ばねメーカーが妊娠記録アプリへ、布施精密発條が「Fuse Studio」を始動

Apple Watchなどの健康データを端末内で処理し、妊娠中の記録負担を減らす。東大阪の製造業が、課題解決型のものづくりをソフトウェアへ広げる。

BY 布施精密発條株式会社

LAUNCH

2026年8月5日

FOR

日々の入力負担を抑えながら、妊娠中の体調や活動、健診情報を記録したいiPhone利用者

TYPE

new business

WHY IT MATTERS

既存の製造技術を直接転用するのではなく、品質管理や利用者起点の設計思想をデジタル事業へ移す点に注目した。単発のアプリに終わらず、新規事業ブランドとして継続できるかが焦点になる。

入力を減らす妊娠記録アプリ

大阪府東大阪市の精密ばねメーカー、布施精密発條株式会社は、新規事業ブランド「Fuse Studio」を始動した。第1弾として、妊娠記録アプリ「キミヲマツ」を2026年8月5日にApp Storeで提供開始した。

歩数や活動量はiPhoneから自動取得する。Apple Watchを使う場合は、取得可能な範囲で安静時心拍数、心拍変動、血中酸素、歩行の安定性なども取り込む。利用者が入力するのは睡眠の自己評価や体調タグなどに絞った。

健康データを端末の外へ出さない

取得した数値を正常・異常とは判定せず、本人の普段の平均との比較だけを示す。エコー写真に印字された胎児の計測値は手入力で時系列表示でき、約1カ月分の記録をA4用紙1枚のPDFにまとめられる。

健康情報、体調記録、エコー数値は、同社のサーバーや第三者の解析サービスへ送らず端末内で管理する。妊娠に関わる機微な情報を扱うサービスで、データを集めない設計自体を価値にしている。

月額480円、医療判断は行わない

アプリは基本無料。有料の「よりそいプラン」は月額480円で、初回1週間は無料となる。Apple Watch連携データの表示、週次の振り返り、妊婦記録まとめPDFが有料機能に含まれる。対応環境はiOS 17.6以降だ。

アプリは医療機器ではなく、診断や治療を目的とする機能は提供しない。利用者自身の記録を健診時の説明に使いやすくするものであり、数値に基づく健康判断は医師などの専門家に委ねる。

ばねではなく課題解決を事業の軸に

同社は1956年創業で、多品種小ロットの精密ばねを年間4000種類以上製造する。2022年には司法試験受験生と合格者講師をつなぐサービスも始めており、デジタル領域への進出は今回が初めてではない。Fuse Studioでは、ハードウェアとソフトウェアの両面で製品を継続開発する方針だ。

製造設備やばね技術をそのまま使う事業ではない。品質への考え方や利用者の課題から設計する姿勢を別領域へ移せるかが、この新規事業の核心となる。

LAUNCH TRACEの視点

中小製造業の新規事業は、保有技術の用途探索に偏りやすい。布施精密発條は手段をばねに限定せず、利用者の負担を起点に月額課金のソフトウェアを作った。既存事業との距離が大きいからこそ、組織が新しい顧客理解と開発能力を持てるかを観察できる事例だ。

今後はダウンロード数だけでなく、記録の継続率、有料転換率、健診用PDFの利用状況が事業性を測る指標になる。第2弾以降で精密加工の知見とデジタルをどう結び直すかも注目したい。

READ PRIMARY SOURCE ↗
精密ばねメーカーが妊娠記録アプリへ、布施精密発條が「Fuse Studio」を始動 — LAUNCH TRACE