工程表と日報から「次の抜け漏れ」を探す、富士通・東急建設・北野建設が現場管理AIを実証
図面、工程表、日報、申請・検査情報を横断し、1〜2カ月先の資材・人員手配や手続きの漏れを根拠とともに提示する。異なる施工会社の現場で、熟練者の段取りを再現できるか検証する。
BY 富士通株式会社
複数の協力会社と資機材を管理し、工程遅延や申請・手配漏れを減らしたい建設会社
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生成AIによる文書検索ではなく、工程遅延につながる将来の作業と手続きの不足を予測し、根拠付きで示す点に注目した。異なる現場データへ適応できるかが製品化の分岐点になる。
1〜2カ月先の工程リスクを提示
富士通、東急建設、北野建設は、建設現場の工事進捗とリスクを管理する「建設工程管理支援AI」の実証を、2026年8月3日から12月25日までFujitsu Technology Parkの再開発現場で行う。
AIは工程表、作業日報、図面、手続き、検査、安全指示などを横断し、1〜2カ月先に必要となる資材・人員手配、申請、確認事項の抜け漏れ候補を根拠とともに示す。工程表と日報の差異や、遅延につながる要因候補も抽出する。
現場監督の頭の中にある段取り
建設現場では、多数の協力会社、資機材、検査、行政手続きが依存関係を持って進む。ある作業が予定どおりでも、先の資材発注や申請が抜けていれば工程は止まる。熟練した現場監督は経験から先回りするが、その判断材料は複数のファイルや個人の知識に分散している。
人手不足と高齢化が進む中、確認作業を増やすだけでは負担が重くなる。AIが注意すべき候補と根拠を絞り込めれば、判断を人に残しながら、見落としを減らし、若手が熟練者の視点を利用できる可能性がある。
異なる2社の現場で汎用性を試す
実証では、東急建設と北野建設が同時並行で進める異なる建設工事にAIを適用する。施工会社ごとに図面、工程表、日報の形式や業務手順が異なる中で、遅延リスクの検知精度、根拠情報の有用性、現場責任者の負担軽減を評価する。
富士通がAIの企画・開発とデータ分析を担当し、2社が現場知見と検証データ、評価を提供する。一つの現場専用の仕組みに終わらず、異なる会社のデータへ適応できるかを初期段階から試す構成だ。
誤警告を減らし、行動につなげられるか
発表では、検知精度の目標値、現場監督が確認する警告件数、削減を目指す作業時間は示されていない。候補を多く出しすぎれば確認負担が増え、重要な警告が埋もれる。根拠が正しくても、誰がいつ対応するかまで業務へ接続できなければ、工程遅延は防げない。
富士通は将来、写真、点群、施工図、BIM、社内ナレッジとの連携や、Fujitsu Kozuchi、デジタルアニーラを使う高度化を予定する。まずは既存の文書データだけで、現場が行動できる精度とタイミングを示せるかが重要だ。
LAUNCH TRACEの視点
建設AIの価値は、資料を探す時間の短縮だけではない。複数の予定と手続きをつなぎ、まだ起きていない遅延の原因を早期に示せれば、現場管理そのものを変えられる。今回の実証は、熟練者の暗黙的な段取りをデータから再構成しようとする試みだ。
製品化には、異なる施工会社へ導入する際のデータ整備費用も含めた評価が必要になる。検知したリスク数、実際に防げた遅延、警告への対応率、現場監督の作業削減時間が、実証後に確認したい指標となる。