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搬送と複数工程を1台に、ダイヘンが自走ロボット「VIVACE」を市場投入

工場内を自律移動する台車と協働ロボットを一体化し、ツールも自動交換する。工程ごとに設備を固定する従来の自動化から、1台のロボットが必要な場所へ移動する方式への転換を狙う。

BY 株式会社ダイヘン

FOR

多品種少量生産を行い、設置スペース、設備投資、ロボット運用人材の制約を抱える製造事業者

TYPE

new product

WHY IT MATTERS

新商品ではあるが、既存機器の性能向上ではない。搬送と作業を分けて設備を置く構成そのものを変え、多品種少量生産における自動化の採算単位を組み直す点を記事化した。

作業場所へ自ら移動するロボット

株式会社ダイヘンは、工場内を自律移動しながら複数工程を担う自走ロボット「VIVACE(ヴィヴァーチェ)」の受注を2026年7月に開始した。自社開発の搬送ロボットと協働ロボットを一体化し、搬送、加工機への部品の出し入れ、研磨、ねじ締め、溶接などを1台で行う。年間200台の販売を計画する。

VIVACEは工場内のデジタルマップを使って現在位置を把握し、床面の磁気テープなどを使わずに走行する。四輪駆動で前後左右と斜め方向へ移動でき、作業場所に着くとアームが工程を実行する。オプションの自動交換装置を使えば、作業に応じて先端ツールも持ち替えられる。

工程ごとの専用設備から発想を変える

一般的な工場自動化では、部品を運ぶ搬送ロボットと、加工や組立を行う産業用ロボットを別々に配置する。工程が離れていれば複数台が必要になり、設備費と設置場所が増える。生産品目や工程が頻繁に変わる現場では、固定設備への投資を回収しにくい。

VIVACEは、ロボットを工程に固定せず、必要な工程へ移動させる。1台の稼働時間を複数作業へ配分できれば、工程ごとの専用機を揃えるより設備利用率を高められる可能性がある。これは高性能なアームを発売したというだけでなく、工場でロボットを配置する単位を変える提案だ。

多品種少量生産の自動化を狙う

対象となるのは、同じ作業を大量に繰り返すラインだけではない。多品種少量生産では、製品ごとの作業変更が多く、専用設備を置きにくい。VIVACEは走行ルートとアームの動作教示を1台のタブレットに集約し、アイコン中心の画面から設定できるとしている。工程変更時の再設定を簡単にし、専門人材への依存を下げる狙いがある。

既存設備や工場レイアウトを大きく変更せず導入できる点も重要だ。全面的なライン更新ではなく、人が行っている搬送や複数の作業から段階的に置き換えられれば、自動化投資の入口を小さくできる。ダイヘンは個別のシステム提案から導入後の運用支援までを一貫して提供する方針だ。

価格と実稼働率は未公表

製品価格、可搬重量、連続稼働時間、移動速度、位置決め精度など、投資判断に必要な詳細は今回の発表では示されていない。複数工程を1台に集約すると、故障や充電、段取り替えによる停止が複数作業へ波及する可能性もある。異なる工程間でどの程度の稼働率を維持できるかが採算を左右する。

また、「国内初」は、搬送ロボットと協働ロボットの双方を自社開発して融合した製品について、同社が2026年8月に行った調査に基づく表現だ。市場全体で同様の機能を持つ製品が存在しないことを意味するわけではない。導入先で削減できた設備台数、作業時間、設置面積を確認する必要がある。

LAUNCH TRACEの視点

VIVACEの新規性は、搬送機能と作業機能を一つの筐体に収めたことだけではない。ツール交換と教示まで統合し、1台を複数工程で共有可能な生産資源にしようとしている。自動化を工程単位の固定投資から、現場内を移動する柔軟な能力へ変える構想に注目したい。

計画する年間200台が実現するには、専用設備を複数導入する場合と比べた総費用と、現場での安定稼働を示す必要がある。多品種少量生産の現場で、何工程をどの程度の切替時間で担い、投資回収期間をどこまで短縮できたか。今後の導入事例で追跡したい指標は明確だ。

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